薬剤師パパのつぶやき

アラサー薬剤師。1児の父。家作りに奮闘中

血圧の薬はグレープフルーツジュースと相性悪い?

日中は暑い日もありますが、夜はだいぶ涼しくなってきましたね。

秋ごろのひんやりした布団が好きなので、この時期は心地いいです。

 

さて、今回も更新の間隔が少し空いてしまいました。反省です。

なにを書こうか迷っていたのですが、今回は薬剤師っぽい内容にしようと思います。

 

仕事でよく聞かれる薬についての質問です。

 

血圧の薬とグレープフルーツジュースの飲み合わせ

薬の飲み合わせの相談で多いのがこれです。先日も患者さんから相談があり、回答しました。

薬を飲んでいる方は聞いたことがあるかもしれません。

 

「この薬とグレープフルーツジュースは一緒に飲まないでください」

 

薬と飲食物の相互作用でもっとも有名かもしれません。

主に血圧の薬とグレープフルーツジュースは飲み合わせが悪いのです。

 

なぜ、飲み合わせが悪いのか。

それは「グレープフルーツジュースに含まれる成分が血圧の薬の効果を強くしてしまう」から。

つまり血圧が下がりすぎてしまい、立ち眩みやふらつき、ひどい場合には失神といった症状を起こしてしまう可能性があるのです。

 

グレープフルーツジュースは血圧の薬の代謝を阻害する

グレープフルーツジュースに含まれる「フラノクマリン」という成分は我々の体にある代謝酵素「CYP3A4」の働きを阻害します。

この代謝酵素は血圧の薬の代謝を担っているもので、この酵素があることによって、血圧の薬は分解され、体に外に排泄されます。この酵素がうまく働かないと血圧の薬が体の中に残りやすくなり、血圧を下げる作用を強めてしまうのです。

 

じゃあジュースじゃなきゃいいの?

はい、そうなんです。ここで大事なのがグレープフルーツ「ジュース」ということなんです。

さきほどの代謝酵素を阻害する「フラノクマリン」なのですがグレープフルーツの果皮に多く含まれています。「果皮」とはつまり皮のことですね。グレープフルーツジュースは皮ごと絞って作られているのがほとんどで、しかも濃縮されています。なので、フラノクマリンの量も多くなってしまい、結果的に薬との相互作用が生まれてしまうわけですね。ジュース以外にも皮を使用した製品には注意が必要で、皮が残っているジャムなんかも食べる量には気を付けたほうが良いです。

 

グレープフルーツの果肉部分にはフラノクマリンは多くは含まれていないので、少量であれば食べても問題ないと思います。

ただし体質によっては果肉でも大きく影響を受けてしまう人もいるようなので注意しましょう。

 

グレープフルーツ以外の柑橘類は?

グレープフルーツ以外の柑橘類ですが、フラノクマリンを多く含むものとそうでないものがあります。

スウィーティやメロウゴールドなどはグレープフルーツ同様にフラノクマリンを多く含むので気を付けましょう。

ポンカンやいよかんデコポンなどにはフラノクマリンはあまり含まれていません。これらのジュースなどはあまり気にせず飲んでも問題ないと思われます。同様にみかんやオレンジも問題ないでしょう。

 

血圧の薬以外にも気を付けて

今回は血圧の薬を例に挙げましたが、グレープフルーツジュースと相性の悪くない血圧の薬も存在します。

また血圧の薬以外にもCYP3A4によって代謝される薬は多くありますので注意しましょう。

薬と薬の相性もありますが、食べ物や飲み物にも影響を受けることがあります。薬を専門にしている私も全てを網羅しているわけではないので難しいですが、気になる場合は薬剤師に相談してみるようにしましょう。

 

 

今回は、薬剤師っぽい内容でした。なるべく誰にでもわかりやすいように説明しているつもりですが、人に伝えるのは難しいと日々実感しております。

こんな感じにブログを書きながら、人に伝える力を培うことができたらいいなと思っています。では、今回はこのあたりで。